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「いやー、急にアリーシャ様に倒れ込むからびっくりしたよ!」
舞踏会からの帰り道、レイがイドに話しかけた。リーリアは眠いのか、レイと手を繋ぎながらウトウトしている。
あのあとすぐに心配したアリーシャが、イドを家に帰すように、それから付き添いでレイとリーリアが付いていくようにと指示したのだ。
「俺は全然覚えていないんだが……心配をかけたならすまないな。」
イドは確かに夢のことは覚えていたが、倒れた時のことは全くわからなかった。
ただ、国花を見た瞬間に夢が流れてきただけだったのだ。
「いやいや、全然いいんだよ。でも今までそんなことなかったからちょっと心配しちゃったかな。 リーリアなんか、慌ててイドの口にマカロン押し込んでたからね。」
レイが笑いながら冗談を言う。その表情に、イドは安心したような気がした。


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「うちまでおくってもらって、本当にありがとう。明日はもっといい舞踏会になるといいな。」
「そうだね。明日こそはケーキも食べたいしね。おやすみ、イド。」
「おやすみなさ~い……」

レイとリーリアと別れた後、イドは部屋で先程のことを考えていた。
(あの夢……一体なんなんだ?それに、あの花だ。
なにか関係があるんだろうか……。昨年も同じような花を見たがなんともなかったはず。なら、一体なぜ今回だけ……?)
考えれば考えるほど訳がわからなくなる。今日は早めに寝よう。そう思い、イドは床に就いた。言いようのない不安感と共に。
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