ーーーー
「おお、戻ったかアリーシャ!して、ヤツはなんと?」
諸見の間。王はアリーシャから結果を聞くのを今か今かと待ち望んでいた。その声には期待と不安が入り交じっている。
「……イドは、今すぐにでも旅立つと。護衛は必要ないとのことです。」
感情を表さないように、慎重に、ゆっくりと答える。その目は少し赤くなっていた。
「それは誠か!……これで邪魔者は……くくく……」
そこに響く王の笑い声。アリーシャは唇を噛み締めた。
ーーーー
「この辺のくそもんは弱いことは弱いが、巣窟に1人で入れと言われると、死亡率がぐーんと高くなる……分かり易いことしてくれるな、あのクソジジイ。」
誰に語りかけるでもなくそうつぶやく。その声には、怒りと憎しみが篭っていた。それは、王がアリーシャの心を理解しようとしないことへの怒りだった。
家に戻ると早速旅の準備を始めた。しかし、それはくそもんの巣窟に行くための準備ではなく隣町へ行くための準備だった。
(まだ死にたくはない……それに、アイツを殺しでもしない限りアリーシャには……自由が手に入らないから)
父から受け継いだ剣を取り出したとき、ドアをノックする音が聞こえた。
「イードー! 今日は舞踏会、早めに行こうよー! 」
レイの声だ。無邪気な笑い声も聞こえる。おそらくリーリアだろう。
「そうか、今日も行く約束をしていたか……」
ドアノブに手をかける。 その手は小刻みに震えていた。
「イド!早く行こうよ、もう始まってるはずだよ!」
リーリアがイドの服をひく。
「っ、ごめんリーリア。大事な用事ができちゃったんだ……悪いが2人で行ってくれるか?」
リーリアの頭を撫でながら語りかける。その横からレイが肩をつかんできた。
「その用事ってさ。……本当に、あるの? 」
真っ直ぐイドの目を見据えて尋ねる。いつもヘラヘラしてなよなよしいレイがこうするときは、決まって彼が本気で心配しているときだった。
「……レイ、安心しろよ。本当だから……」
顔がひきつる。声が震える。その様子を察したのか、レイは続けてこう言った。
「君、嘘をつくの苦手でしょ? だってやばい!って顔してるもの。それにあそこに出ている剣……お父さんのだよね? イドが大切にしまってた。でもそれが出ているってことは……」
「俺が悪かった! ……本当のこと言うから、そんな顔するな。……レイらしくない。」
ーーーーー
アリーシャにされた話を2人に聞かせてやると、レイは血相を変えてイドに詰め寄った。
「ど、どういうこと!? それって王様がイドを殺そうとしてるってことだよね!? ほ、ほんとに行くの!?」
「やだ! イド死んじゃやだよ……」
レイはさすがに内容まではわからなかったのか、随分と取り乱している。リーリアに至っては、話の途中で泣き出してしまった。
「死にには行かないが……この街には多分戻らない。」
イドは悲しげに伝える。レイは少し考えたあとこう言った。
「僕らも行くよ。ね、リーリア?」
「……もちろん!」
「おお、戻ったかアリーシャ!して、ヤツはなんと?」
諸見の間。王はアリーシャから結果を聞くのを今か今かと待ち望んでいた。その声には期待と不安が入り交じっている。
「……イドは、今すぐにでも旅立つと。護衛は必要ないとのことです。」
感情を表さないように、慎重に、ゆっくりと答える。その目は少し赤くなっていた。
「それは誠か!……これで邪魔者は……くくく……」
そこに響く王の笑い声。アリーシャは唇を噛み締めた。
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「この辺のくそもんは弱いことは弱いが、巣窟に1人で入れと言われると、死亡率がぐーんと高くなる……分かり易いことしてくれるな、あのクソジジイ。」
誰に語りかけるでもなくそうつぶやく。その声には、怒りと憎しみが篭っていた。それは、王がアリーシャの心を理解しようとしないことへの怒りだった。
家に戻ると早速旅の準備を始めた。しかし、それはくそもんの巣窟に行くための準備ではなく隣町へ行くための準備だった。
(まだ死にたくはない……それに、アイツを殺しでもしない限りアリーシャには……自由が手に入らないから)
父から受け継いだ剣を取り出したとき、ドアをノックする音が聞こえた。
「イードー! 今日は舞踏会、早めに行こうよー! 」
レイの声だ。無邪気な笑い声も聞こえる。おそらくリーリアだろう。
「そうか、今日も行く約束をしていたか……」
ドアノブに手をかける。 その手は小刻みに震えていた。
「イド!早く行こうよ、もう始まってるはずだよ!」
リーリアがイドの服をひく。
「っ、ごめんリーリア。大事な用事ができちゃったんだ……悪いが2人で行ってくれるか?」
リーリアの頭を撫でながら語りかける。その横からレイが肩をつかんできた。
「その用事ってさ。……本当に、あるの? 」
真っ直ぐイドの目を見据えて尋ねる。いつもヘラヘラしてなよなよしいレイがこうするときは、決まって彼が本気で心配しているときだった。
「……レイ、安心しろよ。本当だから……」
顔がひきつる。声が震える。その様子を察したのか、レイは続けてこう言った。
「君、嘘をつくの苦手でしょ? だってやばい!って顔してるもの。それにあそこに出ている剣……お父さんのだよね? イドが大切にしまってた。でもそれが出ているってことは……」
「俺が悪かった! ……本当のこと言うから、そんな顔するな。……レイらしくない。」
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アリーシャにされた話を2人に聞かせてやると、レイは血相を変えてイドに詰め寄った。
「ど、どういうこと!? それって王様がイドを殺そうとしてるってことだよね!? ほ、ほんとに行くの!?」
「やだ! イド死んじゃやだよ……」
レイはさすがに内容まではわからなかったのか、随分と取り乱している。リーリアに至っては、話の途中で泣き出してしまった。
「死にには行かないが……この街には多分戻らない。」
イドは悲しげに伝える。レイは少し考えたあとこう言った。
「僕らも行くよ。ね、リーリア?」
「……もちろん!」
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